G異常な執着心
それからまた1年後、祖父が仕事を退職させられたこともあり、今の家から少し離れた家に引っ越さないかと持ちかけられ、皆で引っ越す事に。
まだ荷物が残った状態だったが、不動産を通し、買取希望者が内見に来る事となった。
その買取希望者は偶然にも私と同じ幼稚園に通う子の家族だった。
簡単に挨拶を交わし、部屋を見て回る家族。中でもその家族の父親が異様だった。
家に入るなり、おおーと感動したかのように声を漏らし一つ一つの部屋を舐め回すかのように見て回り。
ずっと、いいね…いいね…と呟いていた。
家自体年季が入っていたし、猫も犬も飼っていたし、荷物だって全て片付けられて居ない状態で褒めちぎる父親に、母も目を丸くしていた。
2階に上がり、祖母と出くわし祖母が挨拶をするも上の空で部屋を見て回る父親。その間もいいね…いいね…と呟いていた。
内見とは言え、まだ荷物が残っているにも関わらず押し入れの中など何の声もかけず開けて眺めていく姿に、祖母も後から気味が悪い人と言っていた。
内見が終わり、その数週間後に引っ越す事になった。
元の家はあの父親が異様なまでに家を気に入り、他の家族の反対を押し切りそのまま住む事になったようだった。