B押し入れの中のモノ
2階に寝室があり、川の字で父、兄、母の順番で寝ていた。
ある日の深夜、金縛りで目が覚めた母。
これまで金縛りは何度も経験しているのでいつものように目を閉じたまま、金縛りが解けるのをじっと耐えていた。

すると背筋がジワジワと冷えていくのを感じた。
後ろには押し入れがあり、その押し入れの隙間から冷気が入って来るような感覚がして、更に体が強張る。
全神経が背後に集中した時、急に耳元で野太い男の人の声で「こっち向いてみぃ」と声がしたのだと言う。

あまりの恐怖に目を頑なに閉じ。頭の中では違う事を考え背後の事は忘れようとしていると、パッと金縛りが解けた。
その途端兄をずらし、父と兄の間に入り込み布団を深くかぶってその日は眠った。

この時の母の行動にはツッコミを入れたくなるが、それ程怖かったのだろう。

翌日兄は高熱を出し、朝から小児科病院に連れて行ったと言っていた。