A駐車場
祖父母の家に駐車スペースはあったのだが、1台しか停めれない為、少し歩いた所にある月極駐車場を借りていた。
その日は兄を祖母に預け、1人で買い物を済ませ駐車場に入った時だった。

派手な服装をした20代ぐらいの金髪の男の人が変な足取りでふらふらしていたと言う。(片足を引き摺っている感じ)
邪魔だな…と思いつつも借りているスペースへとゆっくりと車を走らせ、後方を確認しながらバックで駐車した。
ハンドブレーキを引いて前方を見ると、先程駐車場内をふらふら歩いていた男の人が前に立っていた。
声を発する間もなく、その男はフロントガラスにダイブする様に体を投げ出してきた。

うわ!!!と悲鳴を上げながら目を閉じ両腕で顔を覆った。
しかし、フロントガラスに何か当たる音はせず、静かな時間が続いた。
そっと目を開けると辺りには誰も居なかった。
暫く呆然としていたが、車の中に入ってきたのでは?と思うとゾゾッと寒気がして、早々と荷物を持って家に小走りで帰った。