放射線量も致命的だが、150トンに達するふたの重さも廃炉作業を困難にしている原因だ。3重の蓋のうち、残りの2つの蓋の間にも放射性汚染物質が残っている可能性があるが、現在の状態では確認する方法がないと東京電力は説明した。

 原発事故が発生して10年が経った今でも現場では作業が行われているが、復旧完了どころか廃炉作業を始めることさえできずにいる。事故が起きた原子炉を分解して安全な場所に移した後、使用済み核燃料と溶け出した核燃料を取り出して処理しなければならないが、核心作業である核燃料を取り出すこと自体が被ばくの危険性などで難しい状況だからだ。

 経済産業省と東京電力は今後20~30年以内に廃炉作業を終えるという立場だ。しかし、廃炉作業の足を引っ張るような事態が続々と明らかになっている。前日だけでも福島原発から出た処理水を保管するタンクから放射性物質が空気中に排出されることを防ぐフィルター25個のうち24個が損傷していたことが確認された。管理主体の東京電力は放射性物質が空気中に流出したことを認めた。

 日本経済研究センターによると、原発事故の復旧にかかる費用は長期的に80兆円を超えるものと推算される。これは、韓国政府の1年予算である約500兆ウォン(約46兆7800億円)の2倍近い規模だ。

 一方、日本政府は2023年から福島原発処理水を海に放流する計画だ。処理水に含まれた放射性物質は濾過して放出するため安全だというのが日本政府の立場だが、格納容器から致命的な放射線量が検出されたほか、フィルターの損傷を放置していたことが明らかになり、韓国を含め周辺国の不安が高まっている。