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それから2週間ほどたったが、何もなかった。B男から連絡があり、A子から1週間ほど連絡がつかないので、A子の様子を見に行かないかと言われた。
それは過剰ではないかと思ったが、胸騒ぎがするから行くの一点張り。A子のアパートに行ってみると嫌な雰囲気がする。
インターホンを連打すると、ゆっくりドアが開き、無言のA子が顔をのぞかせた。
A子はやせ細り、やつれていた上に、肝試しのときと同じ服装だった。生臭いにおいもした。
A子は死にそうな声でスマホをなくしたから……数日前から体調が悪くて……と言い、ドアを閉めてしまった。
自分はB男にファミレスに連れていかれた。B男は何かを知っているらしかった。
自分が木の根元に何かがいるのを見たと言うと、B男は立ち上がって(会計をして)店を出ていった。
B男によると、あのときC男とともに、木の根元に赤い服で目が黒く、口がめちゃくちゃ笑っている女がいて、A子と自分を指さしていたのを見たという。
スマホの写真や動画もちゃんと写っているものはなかった。それ以来、心配してLINEを毎日送っていたのだという。
A子は最初うちは返信も来ていたが、1週間前から既読がつかなくなり、部屋の明かりも消えたままになったという。
二人でふたたびA子の部屋に行ってみたが、いる気配がない。あたりを探してみたが見つからず、一旦解散。
帰宅後、23時ごろ、インターホンが鳴った。カメラ画像(マンション入口)を見ても誰も映っていない。
24時すぎ、今度はドア横のチャイムが鳴った。A子の声がした。ホッとして鍵を開けようとすると、廃病院のときと同じヤバイ気配がした。
覗き穴から見てみると、目を見開いて歯をむき出しにして笑うA子の顔があった。ドアノブをがちゃがちゃ回し、「どうしたのー」とひたすら連呼している。