これはと尋ねると彼は自嘲した様な笑みを浮かべて「今はこの老ぼれが稼げる物なんてこの体くらいさ」と言った。
ロシアは同性愛者に厳しいことが知られており、本国でバレない様にフィンランドとの国境沿いに来てその様なサービスを受けるゲイが多いらしい。
唖然としていると電話が鳴って彼が対応した、60分5000円コースで今日も血気盛んなコサックに体を捧げるらしい。
彼は気づかなかっただろうが応対している彼の顔はしわくちゃの髭面を雌の顔に歪めていた、やはりこの界隈が長いと目覚めるものもあるのだろう。
彼に辛く無いかと聞くと「私はまだトナカイに身売りをさせていない、獣姦が明確に規制されていないデンマークではトナカイ売春宿もある、ああなってしまったら終わりだ」と彼は言って取材は終わり、私はやるせない気持ちの中で国境沿いのモーテルで酒を煽った。
帰路にて浮浪者の様な男たちに路地裏で輪姦されている赤い装束の男がいた気がするが私はアレがなんだったのかは今でも分からない。