見える距離まで近づいて、知らない人だったら謝ろう!くらいの軽い感覚だったろう。長く見えた橋の向こうは子供の足でもすぐに渡れて、私たちはその人影の前に立ち止まった。
そこまできて声をかけるのが怖かった。なんせ何も見えなかったから。と思った時ふとその人影が振り向いてこっちを見た。それは、黒ずんだ肌に、土と泥で薄汚れて、醜いほど痩せ痩けている、多分元は白かったであろう古臭く黄ばんだ服を着た老人だった。
今思うとアレは白装束で間違いない。だってはっきり覚えてるもの。