私は涙目の弟の手をきゅっと握ってお母さんを探す旅に出た。時既に夜、空と地面の見分けすらつかない。だから夜の山は危ないんだ。
つっても私にできることなんて、でっかい声でお母さんを呼びながら足の赴くまま歩き回ることくらいだった。
ある程度歩くと、例の石橋に辿り着いた。方向もわかりゃしなかったのに。弟を元気づけようと気丈に振舞ったことを覚えている。

(°▽°)「お母ちゃんこの下にいるはずだよ、ほら!水の音するでしょ?」

でも人の声はしなかった。流石に橋を渡るのは怖くて、まあその辺で二人でお母さんを呼び続けた。