映画『もののけ姫』の原点の一つに「照葉樹林文化論」が挙げられる。
 宮崎駿監督が、七〇年代から中尾佐助(一九一六〜九三)氏の提唱した「照葉樹林文化論」に傾倒していたことはよく知られている。八〇年のテレビ『(新)ルパン三世』の演出の際には、「照樹務(テレコム)」というペンネームを使っている。「明治神宮の照葉樹林の散策が大好き」と語り、雑誌『世界(八八年六月臨時増刊号)」には中尾氏の著書『栽培植物と農耕の起源(岩波新書)』の熱烈な書評を書いたこともよく知られている。