だって、そこには私と同じ桃色の園服を着た少女が立っていたんです。十秒の沈黙の後少女が私に話しかけてきました。

少女「今日のお昼、砂場で遊んでたでしょ ? 」

そう言われて、私はようやくあの時 窓に見えた少女だと気が付きました。少女は私の返答を待たずに階段を駆け下りて側まで来ると固まったままの私の手を掴み言いました。

少女「ねぇ、代わってよ」

訳が分からなかったのと、とても冷たい少女の手に恐怖し何も言う事が出来ませんでした。ですが、少女はそんな事お構い無しに続けます。

少女「貴女 友達居ないんでしょ ? 何時も、1人で遊んでるもんね ? 
だから、私と代わってよ。良いでしょ ?

どうせ、1人で居るなら私の代わりにあの教室に居てよ。私も自由に遊びたいの、ねぇ」

私は本当に怖かったです。少女の黒目がだんだんと大きくなり握られた手の力も幼稚園児とは思えない程で……でも、耳元で誰か男の人の声が聞こえて

男の声『嫌だとはっきり言え、お前の体はお前の物だ。
誰にもやってはいけない。自分で守るんだ』

私「い、やだ……」

男の人の声に言われた通り、私は少女に言い返しました。すると、少女の目から血の涙が溢れ出したのです。

少女「どうして?!なんでよ!かわれかわれかわれかわれかわれかわれかわれかわれかわれかわれかわれかわれかわれかわれかわれかわれかわれかわれかわれかわれ」

まるで、壊れたラジオの様に同じ言葉を繰り返し叫び出した少女に私はもはや何も言い返す事が出来ず。その場で気を失ってしまいました。

翌日、目を覚ますと私は布団に寝ていました。なので、最初は「怖い夢だったのかな?」っと思いトイレに行ったんですが手を洗う時に自分の手首に着いた痣を見て驚愕しました。
薄らとでもハッキリとした、当時の自分より小さな少女の手形がついていて泣きながら先生達に説明しましたが、信じては貰えませんでした。
あの時、聞こえてきた男の声が何だったのかは解りませんが、あの声に従って少女に言い返す事が出来ていなかったら私はどうなっていたのか……
あの時の事は今思い出してもゾッとします。っと、同時にあの声には心から感謝しています。