無事家も完成し、肉屋一家が引っ越ししてきた。
相変わらずの足音の日々。
この頃にはもうほぼ夜中の2時を知らせる時計代わりになっていた。

それから暫くしてまた裏の家から叫び声が聞こえた。
旦那さんの声だった。
すぐに救急車のサイレンが聞こえてきた。
どうやら旦那さんが運ばれたようだ。

それから暫くして家政婦に話を聞くと病院で検査をいくらして原因が
分からないらしい。
何かに凄く怯えており病院でも手を付けられないとのこと。
どうしようもなくなった奥さんが藁にもすがる想いでお祓いをしてもらったらしい。
その時にどうやら狐の何かに怯えているとのことだった。
無事にお祓いが出来たのか分からないが、いつの間にか裏の家は空き家となっていた。

空き家になったことに気づいた当日の夜
自分は足音で目が覚めた。
何かがいつもと違う。

なんというか凄く重い靄のようなもの体が包まれている感じ。
とにかく体が重い。
動かいないではなくて重い。
重さで動かない。
体の感覚も無い。
目を開けてみるとあの時の女が自分のお腹あたりに跨って足をM字に曲げ座っていた。
足が凄く長かった。
スカートの様な物をを履いているのは見えた。
声が聞こえる。
「カエッテ…」「カエッテ…」