朝方になりようやく眠りについたのが、昼過ぎごろだったか裏の家からの
叫び声で目が覚めた。
裏の家には老夫婦が住んでいて物静かな夫婦だったことを記憶している。
その旦那さんが大声で泣いていた。

誰が見に行くことも無くそれは一日中続いていた。

夜中は足音、昼間はじいさんの絶叫の日々が暫く続いた。
ある日を境にじいさんの絶叫の方は止まった。
しかし、夜中の足音は続いてた。
もう耐えるしか無かった。

それからしばらくして裏の家の取り壊しが始まった。
うちの家政婦に聞くと裏の老夫婦が自宅で亡くなったらしい。
すぐには気づいてもらえず不審に思ったお隣さんが家へいった所二人とも
無くなっていたらしい。

自分はなぜかあの女のことが頭によぎった。
理由かわからないけど直感的に。

相変わらず深夜の軋む音は続いていたが、人の慣れとは恐いもので
この頃には慣れてしまい恐怖心などは無くなっていた。
実害が無かったことも理由なのかも知れない。

暫くして裏での建築作業が始まった。
うちの行きつけの肉屋一家が移り住んできた。