「パァァァァァンッ」という何かの破裂音と共に蛇行し出す車。
その時自分は死を覚悟した。
手すりに掴まり目をギュッと瞑って、なぜかとっさに亡くなった
おばあちゃんに「助けておばあちゃん」と心のなかで叫んでいた。

車はスピンしグルグルと回り出した。
後ろからCの「痛い!痛い!!」と声が響いていたが
とてもじゃないが後ろを振り返れない。
スピンしているせいで、体がドアに押し付けられていたからだった。
どこからか大量の火花が車に入ってきているも横目に見えた。

その時「ドォォォンッ!!!!!」との音とともに車が止まった。
ゆっくり目を開けると目の前にあるボンネットに木が突き刺さっていた。
助かったと思いすぐにみんなに車から降りるよう促したが、Cが「痛くて降りれない!!!」とテンパっていたため後部座席へ行くと上半身に軽度の火傷と足のスネ辺りから出血していたのですぐにAと抱えて降ろした。

傷口を見ると鋭利なもので刺されてような傷跡だった。
パックリ傷口が開いてた割に出血は少なかった。
骨まで見えており骨にも鋭利な何かで傷つけられたような傷跡が付いていた。
傷跡には黒い錆びのような物もついていた。
その傷を見たときあの女のことを思い出しすぐさま辺りにいないか確認
したがどこにも見当たらなかった。
車を見ると後輪のタイヤが両方とも無くなっていた。
ホイールむき出しでスリップしたため火花が起きていたようだ。
恐らくそれでCは火傷したのだろう。