件の姿見は3階から2階へ下る途中の踊り場にあった
3階は年長組、五・六年生が使う階になっている
普通は年中年少組は3階迄上がって来ない、なのでこの姿見の前に立つのはほぼ5・6年生に限られる

六年生になった冬の時期
部活動が終わり友人と家に帰る途中、宿題が出ていたのに教室に教科書とノートを忘れて来た事を思い出す
友人と其処で別れ自分は学校に戻り、また教室へ
辺りは暗くなっていたが校舎内の電気は非常灯のみになっていた、事務員に無理を言って昇降口の鍵を開けて貰っている身なので文句は言えない
忘れ物をランドセルに詰め、階段を降りてふと顔を上げると姿見があった
あぁ、これウチの七不思議の一つのヤツか…
普段は其処に姿見があるなんて意識していない為か、その時初めて姿見を見つけた様な感覚に陥る
立ち止まりボーっと眺めていたが、特に自分以外の誰かが写る事も無く
変顔をしてみたり変なポーズをとっていたりしたがやがて飽きてそのまま帰路に着いた
後日友人を捕まえてウチの学校の七不思議はヤル気がなさ過ぎると話していたが、姿見の話をしていた時に何とも言えない微妙な顔つきになった
姿見の前で転んで怪我する生徒が居たり、その姿見を見て異常に怯える生徒が多発したので一年程前に撤去されたのだそう

何で俺は一年前の姿見撤去の事を知らなかったのだろう?
答えは自分は身体が弱かったので、年の半分位は床に伏していたからだそうで…欠席野郎で悪かったなw