恐怖で荒くなる息を必死に押し殺した。男は今日はわたしを見つめることはせず、わたしが起きている間主に過ごしている定位置を立ちながらずっと見つめていた。何か言っていたけど覚えてない。その後、またベッドのほうにきた。わたしは手前側に寄ったまま寝たふりを続けていた。
男は急に足元側から私の隣(壁側)に寝そべった。人肌にしては冷たかったけど、死人にしては温かかった。肌のような感触はあったけど死後硬直のような硬さと肌触りだった。そのときに掛け布団が床に落ちた。男はまたわたしの後ろからずっと見つめていた。わたしは自然な呼吸を意識していたけどだいぶ無理があったと思う。恐怖に潰されながら色んな幻覚を見た。自分が霊安室に寝そべっていたりとか。暫くすると男は起き上がり、外に向かった。足音から鍵を開けてドアを開け、鍵を閉めるところまで聞こえた。やっと目を開いた。部屋には何も変化はなかった。もう眠れなかった。