また女性が目を合わせて来たのです。

私は人が放つ気と言うものを、初めて感じた気がして、驚きと恐怖で動けなくなりました。

睨むと言う表現も当てはまらず、無表情なのに、突き刺さるような視線です。

作業を終えて帰ろうとするオッサンに寄り添いながらも、私の方を注視し続けているように感じました。

恐ろしくなった私は、カーテンを一気に締めて、しばらくの間オッサンの清掃活動を見ないようにしていました。

ところが今年の6月に入った日曜日の午前のことです。

カーテンは閉めたままでしたが、外でオッサンが掃除をしているのは何となくわかりました。

いつになく大きな機械音が響いて来たので、気になった私はそっとカーテンを捲って様子を見てしまいました。

発電機というのでしょうか、エンジン音を響かせながら稼働する四角い機械に繋がれたグラインダーのようなもので、オッサンがブロック塀の最後段に伸びた鉄筋を切って整えているようでした。

本来はもっと高くブロックを積む予定だったのかも知れません。オッサンが剥き出しの鉄筋を危険だと判断したのだと思われます。

そしてその傍らに例の女性。