業者の振る舞いが凄く丁寧なのです。

鳥居に入る前にキャップを取り、深々とお辞儀をして、一歩右へ進んで鳥居の端っこから入り、帰るときも同じような動作をしていました。あとで調べると、鳥居の真ん中は神の通路にて通るべからず、との決まりを周到していたのだということがわかりました。

そしてなによりも、お供え物まで交換していたのです。

このときは丁寧な業者だな。お供え物込みの清掃プランなのかな‥‥くらいに考えていました。

ある日の夕方に、自治会の役員のジーサンが配布物を届けに来たので、何となく業者のことを聞いてみました。

ジーサンによれば、それは業者ではないとのことでした。

突然自治会長の自宅に訪ねてきたオッサンは、無償のボランティアで構わないので、お稲荷さんの清掃や改修をさせてほしいと申し出て来たというのです。

自治会としては断る理由も無く、むしろお願いしたくらいだそうなのですが、どこの誰かは知らんとのことでした。

どこからともなくやってきて、ボランティアで掃除とお供え物をしていく、正体不明の清掃業者もどきのオッサンに興味を持った私は、のべ半年以上に渡り、オッサンの清掃活動を観察するという気色の悪いことを続けていました。

そして今年の3月頃、オッサンの掃除に女性が同伴していたのです。