臨床心理士であるB氏は以下のように説明します。

「心理面でみると、通常では人間は自分と他人との間にある程度の距離感を保ちたいと思っています。
個人差はありますが、一般的に両手を広げた範囲が、その人が他人との間で保ちたい距離とされています。
そこに踏み込まれると、人間は不快な気持ちになるといわれており、例えば満員電車や混み合ったエレベーター内など、物理的に他人との距離感を保つことができない場合があります。
こうした場合、周囲の人を人ではなくモノとみなす『没人格化』するように脳が作用し、人間は不快感から逃れることができる仕組みになっています。
そんななか、トナラーは距離感に関係なく他人を『没人格化』してしまう人が多い傾向にあるという見方ができます。
こういう人は、人と人との距離感をイメージしづらく、脳の切り替えが少し苦手なのだと思います。
この結果、他人に迷惑をかけている意識もないまま、駐車場がガラガラでも駐車しているクルマのすぐ横に自分のクルマを駐めてしまうトナラー行為をしてしまいます」

新型コロナ禍でトナラー増える? 対策方法はないのか?

新型コロナ禍において、トナラーの環境は変化しているのでしょうか。

「人間は元来、不安になると集まる習性があります。
今は新型コロナ禍で社会不安が高まっていますが、ソーシャルディスタンスで距離を取ることが求められています。
これは人間にとってかなり苦しいことです。こうした背景もあるので、トナラーと呼ばれる人は増えているのではないでしょうか」(臨床心理士・B氏)