私たちの社会は、今、「家の時代」からアメリカのような「個人の時代」へと足を踏み出そうとしている。
夫婦別姓の問題も、森喜朗氏の発言に端を発した「女性という属性ではなく個人を評価しましょう」という動きも、
私たちを「家」の世界観から「個人」へと押し出そうとする。
「個人の自立」というと聞こえはよい。
だが、介護の問題、パラサイトチルドレン、8050問題――
そこに頼って生きてきた人々が「家」から押し出されたとき、
社会が彼らに居場所を用意できるのかが真の問題だろう。