* カーテンをつけない自分が悪いんだけど、以前から時折この出窓がすごく不気味に感じる時があった。
* 布団は出窓とは真逆の壁際に置いてるんだけど、眠りにつこうと目を閉じると、出窓の方から見られているような気配を感じたり、深夜、誰も駐輪場を使わないような時間に人がいるような物音がするようなこともあった。
* ただ、今までは「そんな気がするなぁ」程度の気持ちで、眠って朝になれば忘れてしまうようなものだった。
*
* だけど今さっき。
* いつものように、眠りにつこうと電気を消して、布団で目を瞑っていた。
* 今日は特に強い気配を感じて、胸がざわざわするような感覚があった。暑さからくる寝苦しさもあってなかなか眠りにつけないでいると、今度は明らかに「ザリザリッ…」と何かを擦り付けるような音がした。
* 気になって出窓に目を凝らしたんだけど、暗い上にどうも目が悪くてはっきりと見えない。
* わざわざ電気をつけるために起き上がるのも面倒くさかったので、眠ってしまおうと目を閉じた矢先、また「ズリズリ」と何か擦るような音。
* この時点で相当気味が悪かったが、流石に気になるし放っておけなそうなので、立ち上がって出窓の方に歩く。
*
* 3歩ほど近づくと目が悪い俺でもはっきり見えた。
* プラスチックの板の隙間から、目が覗いている。
* 妙にどす黒い土気色の肌に、窪んだような光のない目が覗いていた。それも二人。