するとそれまで疾駆していた人たちは、
皆憑きものが落ちたようにその場に立ち止まり、
中には疲労のあまりくたくたと崩れ落ちる人もいます。
和尚は皆を見渡すと一言、「ふん、狸じゃよ、ま〜た化かされおってからに」
そうつぶやいて寺に戻って行きます。
その場の人たちは皆 照れくさそうに笑い、
ゆっくりと歩いて自分の家へと帰っていきました。
そうして次の日からは村は、何事もなかったように日常へと戻ったのです。

これはわたしが子どもの頃にあった本当の話です。