水面の波はかなり高くなり、あきらかにこっちに近づいてきてる。
俺は言われたとおり、両手でおっさんの手首を握って板の上で踏ん張った。
そしたら・・・信じられないかもしれないが、
水の中に巨大な魚の口を開けた顔が見えた。
軽トラックを正面から見た大きさだよ。怖くはなかったな 
魚の顔を前から見ると、なんとなくユーモラスなんだ。

それがどんどん近づいてきて、バジャーッと水が跳ね上がり、
跳び上がった魚が、おっさんの尻の後ろで口を閉じたんだ。
バフッという音がした。一瞬、引っ張り込まれそうになったが、
おっさんの体を通して何かが抜けた感触が伝わってきて、
俺はおっさんごと尻餅をついた。

巨大魚はそのまま体を反転させて水に落ちたが、
口の端におっさんの尻にあったヒルを咥えてるのがわかった。
「あああ、抜けたあ。助かったああ」おっさんが歓喜の声をあげ、
湖に突き出した尻からブバババと軟便を噴射して
小魚たちが争ってそれを食った。
神魚は潜って見えなくなった。
ま、こんなことがあって、結局20万もらったんだよ。