びっくりしたよ けども、向こうのほうがもっと驚いた様子で、
その持ってたもんを口に咥えると、四つん這いになった で、ネズミのような速さで、
俺の脇を駆け抜けてったんだよ それから親を起こしてその話をしたが、
信じてる様子ではなかった けどな、いちおう家の中を調べたら、
廊下の一番奥の仏間 仏壇にあったじいさんのまだ納骨してない骨壷が倒れてて、
白い骨の粉がいちめんに散らばってた けど、それ以外に被害はなかったし、
家のドアも窓もすべて戸締まりされてたから、警察に訴えることもなかった
おおかた両親はネズミがやったことだと思ったんだろう
俺が見たものは寝ぼけ・・・けどな、その週の日曜日、弟を誘って
うちの山に登ったんだよ ああ、冬のほうが登りやすい
実家のある地方は雪はほとんど降らんし、冬場はヤブが枯れてるから

でな、人ひとりが通れるくらいの道があった そうだなあ、一番高いとこまで
登っても1時間ちょっとだった で、その途中にじいさんがつくったと
思われる小屋があったんだよ 小屋っても、突然の雨をしのげる程度の
屋根がかかってるもんで、鍵なんかはついてねえ 畳3畳程度の広さ
中に入ると、土間の奥のほうにわけわからんものがあったんだ
・・・立派な服を着た小人の骨だよ 頭は骸骨になってて、長い髪の毛が残ってた
そう、俺が前に見たやつと同じくらいの大きさ 弟も見たから間違いじゃねえ
でな、その前にやはり小さい長机があり、その上に、白い塊がのせられてた
ああ、たぶんじいさんの遺骨の一部だ そんとき、小屋の屋根の上で、
コツコツって何かが歩くような音がした それで俺らは怖くなって
山を駆け下りたんだ けどよ、その後、親父といっしょに小屋に入ると、