うちのじいさんのことなんだ。12年前に死んだんだよ
だからな、古い話ではあるんだが・・・最近なあ、実家で仏壇を買いかえる
ことになって、小引き出しなんかを整理したら、変なものが出てきてな
それについての話なんだ
それでな、俺はあんまり頭がよくねえんで、人にわかりやすいように
話をするのが苦手なんだよ なるべく順を追って説明するつもりだが、
もしわからねえとこがあったら、適当に質問入れてくれ
18年前な、俺は高校2年生で、田舎の実家に住んでたんだ
頭のいいやつらは近くの市の高校に行くから、地元の学校にしか
行けなかった俺は根っからの落ちこぼれだよ ああ、すまん、関係ないな

で、当時、俺の家族は両親に小学生の弟、それから70を過ぎたじいさん
ばあさんは俺が幼児のときに死んだから、かすかに記憶があるだけだ
それでな、うちは山持ちだったんだよ かなり広い山林を所有してた
ってことだ。いや、資産としての評価額は低い。あんな田舎の山、
買うやつはいない。昔と違って、木材がまるで商売にならねえから
けど、わずかばかりだが固定資産税は払ってたな。じいさんは体力があった
ばりばり畑仕事してたし、週に1ぺんは持ち山に登ってたんだ
これは山の手入れをするためで、登る人がいないと道が消えてしまうし、
木の下枝をはらう仕事もある そのついでに、春は山菜、秋はキノコと、
背負ったカゴにいっぱい採ってきてな あと、じいさんは罠猟師の免許を
持ってたから、ときおり鹿肉なんかが夕飯に出た