Y染色体の解析から分かるという、アフリカ大陸から地球規模での人類の移動や縄文人と弥生人の区別について清水さんは、「ハプログループ(Y染色体の分類)を基に縄文人(旧石器時代人)は3〜4万年前に、弥生人(渡来人)はその後2500年前にそれぞれ宮崎エリアに流入してきたと考えられる。酒豪か酒に弱いかはアルコールを代謝する酵素の有無に関係し、飲めない遺伝子を日本に持ち込んだのは弥生系の渡来人では」と紹介した。

 また、県内に特有の名字「黒木」「甲斐」「日高」などについてハプログループに傾向が示唆されたことや、「興梠姓」と「黒木姓」の「神漏岐山」(かむろぎやま、高千穂町)を縁とする興味深い関連性などについても言及した。

 同研究、システムの活用方法については、「現場資料からの出身地情報推定による被疑者の絞り込みや捜査の推進、南海トラフ巨大地震など大規模災害時の身元不明者の身元確定の円滑化および迅速化などが期待される」とした。

 最後に清水さんは現職の立場から、献血への協力を呼び掛け講演を締めくくった。

夕刊デイリーWeb 2021-03-22
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