なぜバブルの最後は暴騰するかというと、売り方、バブルが崩壊すると思っていた「正常な」心理だった投資家たちも、バブルの嵐に音を上げ、あきらめて売りポジションを解消し、買い戻す。だから、買い一色になるのである。

 ではその後は、誰が買うのか。普通は誰も買わない。しかし、売る人もいなくなった。長期投資家、いまや年金やETF(上場投資信託)が中心の機関投資家は、上がってもほとんど売らない。ここで買うのは、バブル狂乱にまみれている人だけである。だから、商いが少なくなり、そして急騰し、彼らの間でだけ取引されるから、彼らの感情で相場は揺れ動く。乱高下するのである。

 しかし、感情の乱高下はきつい。だんだん彼らも精神が弱ってくる。そのようなときに何かのショックがあり、小さな暴落が起きると、精神だけでなく、財務的にも傷む投資家が出てくる。投げ売る。それを見て、怖くなってほかの投資家も売る。余裕があっても利食いに入り、売る。売る流れができる。ここぞとばかりに、これまでの負けを取り返すために、売り方が空売り、先物売りに殺到する。

 これがバブルのピークから暴落へのメカニズムだ。すでにこれが始まっているように見える。