「でも、やれたからいいか」
 魔法の言葉であると思う。男も女も失恋の痛みと相手への執着から逃れようというときには、「でも、やれたからいいか」とつぶやいてみるといい。本当にそうではないか。
セックスという高みに一度でも相手と登ることができたなら、そこに至るまでの過程で充分に人はドラマを経験しているのだ。
そこから先の道を二人が作れなかったのなら、キッパリと二人はそこまでということだ。別れは賢明なアイディアだ。正解だ。(中略)
「で、でも、まだやってねーんだよーっ!!」とお嘆きの方もあろう。そういう場合は二人の関係性の頂点と思える段階を、「やれたから」の部分に置き換えてみるとよい。
「でも、抱き合えたのだからいいか」
「でも、キスしたからいいか」
「でも、手を繋げたからいいか」
「でも、ドライブにいけたからいいか」
「でも、映画を観たからいいか」
「でも、一緒にお酒を飲めたからいいか」
「でも、告白できたからいいか」
「でも、声をかけられたからいいか」
「でも、目と目があったからいいか」
「でも、出会えたのだからいいか」
「でも、そこにいてくれたのだからいいか」
「でも、生まれてきてくれたんだからいいか」