掃除についていくとカラスが集まっている
これはお供え物を持って帰らない人がいるんで、
それを狙ってくるんだけど、そのカラスの中に、
どうも他とは違う感じのが混じっているように友人には思えた
どう違うのか確かめようと二三歩近づいてみると、十羽ちかくいるうちの二羽が、
カラスの黒い丸い目ではなく白目のある人間の目をしていた
ただし、人の目よりはずっと小さいけど

友人がそれを気にしているのに気づいた大和尚は、
「ほう、お前、あれらが見えるか」と言って、
「お前の母親を拝み屋筋から嫁にもらったのは正解だったようだな
残念ながらお前の父親はまったく見る力がないから」そのようなことを言って、
数珠を出してそのカラスのいるほうに向かって短くお経を唱えると、
人の目をしたカラスはぼんやりとにじむようになって消えた