頭が二転三転する
Aによると、Kは警察が去ったあとを見計らって、小屋に移り住み、今ものうのうと生活している
でもそんな状況がいつまでも続けられるわけがない、いずれボロが出るに決まってるし、バレる

俺「なら、なおのこと警察だよ!」
A「だから、言ってるだろ、タカシ、このまま許せるのかよ?」
俺「え?」
A「あいつは知的障害者だし、初犯だからな。
捕まっても、刑務所からすぐ出てきてしまうかもしれないし、もしかしたら逮捕なんてされないかもしれない、今の罪状のレベルなら、でも…」
俺「でも?」
A「これがもっと大きな罪状になったらどうだ?例えば殺人とか、そしたらあいつは死刑になる可能性だってあるんだぜ?」
俺「待ってよ、要するにAの言いたいことってKを嵌めるってこと?」
A「別に殺人じゃなくたっていい、もっとKの罪を重くするんだ、そしたらKはこの土地から二度と戻れなくなるかも知れない」

Aは笑っていた、嫌な笑いだった
例えるなら死刑が決まり、命乞いをする受刑者を嘲笑うかのような
弱者の立場を利用して、とことん潰す
Aのサディズム的思想が垣間見えていた

俺「でも、でも」
A「俺はやるよ、その場にタカシがいなくてもできるからな」
俺「どうやって?」
A「あいつの前に現れて、挑発でもして殺されそうになるところを、タカシが警察を呼ぶ、第三者がその場を見たっていう証拠もあるわけだから、Kは終わりだよ」
俺「そんな簡単に行くわけ無いじゃんか!下手したら本当に殺されるかもしれない!」