世界は最初、無であった
そこに一粒の種が現れた。種は芽吹き、広がっていった。
そして芽吹いた葉はやがて落ちて、そこに大地が生まれた。
木から流れ落ちる樹液から海が生まれた。

そして海は樹に言った。
私があなたが生まれる事を望んだから、あなたの種が現れ、この樹が生まれたと
しかし樹はその言葉に納得しなかった。
あなたは私の樹液から生まれたのであろう。
それなのに、何故、あなたが私を生み出したと言えるのだと
そして海は応えた。
そもそも無であった世界に時間など存在しない。
あなたが生まれ、幹を根を枝を伸ばしていったから時間が生じた。
芽吹いた葉の一枚一枚が一つの世界でもある。
しかしもとより樹から離れてしまった。海である私はあなたが作り出す時間に
縛られることはなく、私が私を生み出す樹の誕生を願ったから
その願いが種を作り、樹が生まれたのだと。
そうなると、あなたは私の子にて親ということか
そう、そしてあなたも、私の子にて親でもあると。

こうして樹と大地と海が誕生し、その世界が生まれた
これを神樹の世界と言う