【0次元点宇宙編-ポイントランド】

▼次元のない奈落の底 点の王国ポイントランド-3
▼▼球が幻の中でわたしを励ましたこと

わたし(正方形): 「あのちっぽけな者を驚かせて、自己充足から抜け出させてやれないのですか?」とわたしは言った。
「わたしにしたように、あれに、自分が本当はどんなそれ≠ゥ教え、ポイントランドがいかに狭く限られているか明かし、どこか、より高いところへ導いてはやれないのですか?」

球(3次元来訪者): 「それは簡単にはいかない」とわが師が言った。「君がやってごらん」  そこで、わたしはあらん限りの声をはりあげて、点に話しかけた。

わたし(正方形): 「静粛に、静粛に、卑しい生き物よ。お前は自分を、全ての中の全てと呼んでいるが、お前は何者でもない。お前が言う宇宙は、線の上のただの点にすぎないし、線は影にすぎない、他の次元と比べ……」

球(3次元来訪者): 「しっ! もう十分だ」球が割って入った。「君の熱弁がポイントランドの王様に、どんな影響を与えたか、耳を澄ませてごらん」

王様は、わたしの言葉を聞いて、今まで以上に輝きを増しており、自己充足を保っているのは明らかだった。
わたしが話し終えるやいなや、王様はあの口調を再開した。


王さま(0次元点の王国): 「ああよろこび、しこうのよろこび! かんがえることで、たっせいできぬことなどない! 

それみずからのしこうがそれにやどり、それをきぼうすることで、しあわせがさらにます! 

あまいはんらんにかきまわされるも、さいごはしょうりでおわる! 

ああ、ゆいいつのなかのすべてによる、かみのようなそうぞうりょく! ああよろこび、しこうのかんき!」


球(3次元来訪者): 「わかっただろう」とわが師が言った。
「君の言葉は効果がほとんどなかった。王は、自分が理解できることだけを、自らの考えとして受け入れる。
自分以外の他者を想像できないから、自分の創造的な力のおかげでそれのかんがえ≠ヘ多様性を持っていると虚勢を張っている。
このポイントランドの神には、全知全能と思い込ませたままにしておこう。
君や私には、彼を自己充足から救い出すことはできないのだ」