マイクロソフト、「ホロレンズ2」出荷開始 日本にも
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51904000X01C19A1916M00/

米マイクロソフトは7日、米国や日本でウエアラブル端末「ホロレンズ2」の出荷を始めた。
現実世界に3次元の映像や文字を重ねて見られるゴーグル型で、機械の修理や医療現場の
研修といった用途を見込む。価格は3500ドル(日本の参考価格は税抜き38万3800円)。
日本ではトヨタ自動車が試験導入しており、企業での拡張現実(AR)技術の
活用が広がるきっかけになりそうだ。

マイクロソフトがフロリダ州で開催中の技術イベント。会場の一角に設けられた
「工場」でホロレンズ2を付けると、女性の声が聞こえてきた。「装置が不調ね。
安全のため、まずは電源を切りましょう」。視界に矢印が現れ、制御盤に並ぶ
複数のボタンの1つを指した。恐る恐る押すと装置は停止。その後も、声とともに
出現する矢印や手順書に沿って点検を進め、摩耗したゴムを交換して機械を復旧させた。

同社がホロレンズ2の概要を公表したのは今年2月。2016年発売の初代と比べて
3D映像を表示できる範囲を2倍に広げたほか、指の関節一つひとつの動きを検知して
3D映像を押したりつまんだりといった操作を可能にしたのが特徴だ。発表後、
イベントなどで新製品を使ってもらい、評価をもとに映像の表示や視線の追跡機能
といった細部の調整を重ねたという。

ホロレンズの生みの親として知られるマイクロソフトのテクニカルフェロー、
アレックス・キップマン氏は日本経済新聞の取材に「2月以降、最終的な製品に
仕上げるまでに5つ以上のバージョンを作った」と明かした。医療や建築といった
業界ごとにソフトウエアも整備した。

ARは多くのIT(情報技術)企業が取り組んでいる技術分野だが、ホロレンズ2は
企業での利用を念頭に置く。工場の設備移設のシミュレーションや手術の訓練と
いった用途であれば、40万円近い価格でも費用対効果を感じてもらいやすいと
考えるためだ。トヨタでは販売店のサービスエンジニアが車の整備時に使う手順書を
ホロレンズ2向けの3D映像にして、手順を確認しながら作業できるようにする
準備を進めているという。