彡(゚)(゚)「これ……誰の結婚式やったっけ?」
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彡(^)(^)「いやあ結婚式の料理はおいしいなあ、キャビアにフォアグラもあるで」
彡(^)(^)「ワインも上等っぽいし、余興のピアノ演奏も見事やったわ」
彡(^)(^)「新郎新婦も幸せそうで…」
彡(゚)(゚)「…………」
彡(゚)(゚)「新郎新婦って、誰やったっけ…?」 彡(゚)(゚)「ワイは新郎側やったっけ、新婦側やったっけ」
彡(゚)(゚)「それとも両方と知り合いやったかな」
彡(゚)(゚)「おかしいな、全然思い出されへん……」
彡(゚)(゚)「あ、ワインおかわり」 彡(゚)(゚)「おっと、次の余興が始まったわ」
彡(゚)(゚)「西遊記やな、上映時間は3時間か」
彡(゚)(゚)「そうそう、まずは岩の下敷きになった悟空のところへ、三蔵法師が……」
彡(゚)(゚)「……」
彡(゚)(゚)「結婚式の余興って、こんな本格的なセット組むもんやったっけ……」
彡(゚)(゚)「あかんわ、なんか妙な違和感があるわ、飲みすぎたかな」
彡(゚)(゚)「新郎新婦の名前ぐらい確認せないかんわ、受付に行くか」
彡(゚)(゚)「受付は誰もおらんな……そういえばご祝儀とか渡してない気が」
彡(゚)(゚)「でも、いつもご祝儀なんか渡してないな、記帳もしてない……」
彡(゚)(゚)「……いつも?」 彡(゚)(゚)「えーと新郎新婦の名前は…ウエルカムボードはどこかな、外かな」
彡(゚)(゚)「そこの扉から外に出るか」
彡(゚)(゚)「……」ガチャガチャ
彡(゚)(゚)「カギがかかってる……?」
係員「お客様、どうされましたか」
彡(゚)(゚)「えっ」 彡(゚)(゚)「いや、ちょっと外へ出ようかなと」
係員「外へ? なぜですか?」
彡(゚)(゚)「なぜって、いや新郎新婦の名前を…その…」
係員「……」
係員「お客様、なにか混乱されてるようですが」
係員「いかがです、別室でリセットなされますか」
彡(゚)(゚)「えっ」 彡(゚)(゚)「い、いえ、大丈夫です、戻ります」
係員「……そうですか」
彡(゚)(゚)「(ドキドキ)な、なんやリセットって、何のことや」
彡(゚)(゚)「う、まだこっち見とるで」
彡(゚)(゚)「とりあえず席に戻ったろ…」 司会者「本日はお越しいただきありがとうございました」
司会者「列席者のみなさまは左手出口より退場し、お部屋にておくつろぎ下さい」
彡(゚)(゚)「終わったか、とりあえず部屋に戻るか……」
彡(゚)(゚)「左手の出口から廊下をずっと行って、810号室がワイの部屋や」
彡(゚)(゚)「中はバスルームとベッドだけの部屋やな」
彡(゚)(゚)「さて、まず礼服を脱いでカゴに入れて、ドアの外に出す」
彡(゚)(゚)「そして入浴して、ベッドに横になると」
彡(゚)(゚)「どこかからプシュッって音がして、数秒で」
彡(-)(-)「Z z z……」 ピリリリリリ
彡(゚)(゚)「ん」
彡(゚)(゚)「おっと朝か、スッキリした目覚めやで」
彡(゚)(゚)「さてドアの外には…来てるわ、クリーニングされた礼服や」
彡(゚)(゚)「身だしなみをして、礼服をきっちり着て、さて今日も結婚式に出るか」
彡(゚)(゚)「…………」
彡(゚)(゚)「いや、おかしいやろ、こんな生活…」 彡(゚)(゚)「なんでワイは毎日結婚式に出てるんや?」
彡(゚)(゚)「新郎新婦は毎日違う人やけど、いったいどこの誰なんや?」
彡(゚)(゚)「それ以前にワイはいったい誰や?」
彡(゚)(゚)「部屋の窓には……」
彡(゚)(゚)「深い森の中みたいやな、ロビーの窓も森しか見えへんかった…」
彡(゚)(゚)「この式場はどこに建ってるんや、ワイはなんでこの中でだけ生活を……」
彡(゚)(゚)「あかん、ワイ一人で考えられることやない」
彡(゚)(゚)「あいつに相談するか」 (´・ω・`)「今日の料理もおいしいねえ、本格中華だね」
(´・ω・`)「この北京ダック、サクサクと崩れるような食感が最高だね、北京ダックには吊るしてローストする方法とオーブンで蒸し焼きにする方法があるけど」
(´・ω・`)「これは一時間以上ゆっくりローストしてるね、皮下脂肪の層がほとんど無くなって、皮の旨味と食感が」
彡(゚)(゚)「こいつはいつもワイの近くに座ってるやつや」
彡(゚)(゚)「色んなこと知ってるやつで、いつも料理の薀蓄を話してくれる」
彡(゚)(゚)「オムレツなら一時間、寿司なら三時間は喋り続けるほどで」
(´・ω・`)「何ブツブツ言ってるの?」 彡(゚)(゚)「なあ、この結婚式って誰の式やったっけ?」
(´・ω・`)「え?」
(´・ω・`)「誰の式って、新郎も新婦も毎日違う人じゃない」
彡(゚)(゚)「せやから、何でワイらが出席してるのかって話や、ワイらとどういう関係のある人なんや」
(´・ω・`)「結婚式ってそういうもんじゃないの? 例えば村で誰かが結婚するときは、村の人は、だれでも好きに出席して祝え、る……」
(´・ω・`)「…………あれ?」
(´・ω・`)「いや、おかしい……、なんで僕たちが出席しているの…」
(´・ω・`)「そもそも、僕たちは、この生活に入る前まで何をしてたの…?」
(´・ω・`)「それになんで結婚式で中華…?」
彡(゚)(゚)「お前もか…」 (´・ω・`)「ええと、そう言えば僕たち、互いの名前も知らないね」
彡(゚)(゚)「ワイの名前…確か、やきうや」
(´・ω・`)「僕は原住民…だった気がする」
彡(゚)(゚)「会話することはあるけど、料理のこととか、余興についての話だけやからなあ」
(´・ω・`)「朝から晩まで結婚式に出てるからね」
(´・ω・`)「何が起こってるんだろう? スタッフの人とかに聞いてみる?」
彡(゚)(゚)「……いや、あまり目立ちたくない」
彡(゚)(゚)「実は昨日の式で…」
(´・ω・`)「……リセット?」 司会者「続きましての余興は中庭で行われます、どうぞご移動ください」
彡(゚)(゚)「とりあえず移動しよか」
(´・ω・`)「そうだね」
彡(゚)(゚)「中庭もホンマに立派やなあ」
彡(゚)(゚)「かなりの広さがあるし、噴水や彫刻もある、花壇も立派や」
彡(゚)(゚)「余興もほんとに色々ある、こないだは手持ち花火ってやつやったし」
(´・ω・`)「ジャグリングや水芸もあったね、音楽なら弦楽四重奏からヘビメタまであるし」
彡(゚)(゚)「今日は何やろ、何人か出てきたけど」
(´・ω・`)「組体操みたいだね」
(´・ω・`)「とりあえずケーキバイキングがあるから何個か取ってくるよ」
彡(゚)(゚)「せやな、ワイの分も頼む……」
彡(゚)(゚)「……いや、それどころやないんやった」
彡(゚)(゚)「興味がすぐ式の方に行ってまうなあ、なんでやろ…」 彡(゚)(゚)「すごい技やな、五人が肩車でタワーになってるで」
(´・ω・`)「カステイだね、スペインのバレンシア地方で見られる伝統的な組体操だよ」
彡(゚)(゚)「せやけど、さすがにちょっと高すぎるで……」
彡(゚)(゚)「あっ!」
彡(゚)(゚)「てっぺんの奴が落ちたで!!」
ボキィッッ
彡()()「あああああああ!! く、首が!! 首が折れてる!!」 司会者「おっと、ちょっとしたトラブルのようです」
司会者「大丈夫です、すぐに別の余興を用意いたしますので、しばしご歓談ください」
彡(゚)(゚)「べ、別の余興て……」
彡(゚)(゚)「……なんや、組体操してた他のメンバーも、何事もなかったように落ちたやつを運んで……」
彡(゚)(゚)「ほんまに次のが来たで、ピエロが三人や」 彡(゚)(゚)「ジャグリングが始まったけど、いや、さっきの人どうなったんや……」
(´・ω・`)「……」
(´・ω・`)「やきう君、見た?」
彡(゚)(゚)「見てもうたわ、首がポッキリと……」
(´・ω・`)「そうじゃない、頭から落ちたでしょ、頭部に大きな裂傷ができてたのに、血が一滴も出てなかった」
彡(゚)(゚)「そうなんか?」
(´・ω・`)「あれはロボットだ、人間じゃない」
彡(゚)(゚)「!!」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています