ガキの時分に、鍼灸師のジジイから聞いた話。ちょっと変わった幽霊談です。

ニューギニアのあたりのある戦場でのこと。

大規模な戦闘をした部隊があって、その後、その部隊の前線基地に、
夜な夜な、死んだ兵隊たちが現われるようになったそうです。

彼らはいずれも、足がちゃんとあり、懐かしそうに「よお!」とか言いながら、現われるのだそうです。

いずれも確かに戦死した連中ばかり。

神主の息子の兵士がまじないをやったり、お経をよめる兵士がお経を詠んだりしても、まったく効き目無し。

そのうち、ズカズカ上がり込んできて、貴重な飯をバクバク食う始末。

しかも、いきなり手がスルスルっと伸びて、木の実を取ったりして、明らかに化け物化している様子。

怖いやら迷惑やらで困っていたのですが、なんとも手の施しようが無い。

見るに見かねた中尉だか大尉だかの隊長さんが、幽霊たちが集まっているところへ、
ツカツカと歩いていって、いきなり大声で、
「全員、整列!」
と言うと、素直に整列したそう。