「今はいいんだ。今は、僕のことを苦手じゃ無ければそれでいい。それとも僕のようになってみるかい?」

─ 先ほどの紐から何か空気のようなものが送られて自分の姿がシールに変わってゆく。

「お前、ケンヤよりシールのほうがいいだろ?」

「はい。ケンヤより全然、落ち着いてますね。」

「どうだ?ケンヤとして生まれ変わるよりもシールとして生まれれば、先ほど紹介したミホとは結婚できる。
 子供は今のお前よりもずっと静かに動ける人だ。」

「誰ですか?」

「リッスンだ。」

「リッスン?ほんとう。
 だったら将来、かなりいい人になってくれるんじゃない?」

「そうだ。お前が生まれ変わるって気持ちになってくれたからだ。」

「よし、リッスンが子供として生まれてくるなら安心だ。ミホさんと結婚する。」

「わかった、そのように予定しよう。」