「それじゃ、あなたの事はずっと見えない、という事ですか?」

 いまのあなたにはまだ私達の姿を見せられないかもしれない。

「そうですか?なんとかしてくれませんかね・・なんというか、
 今、自分が何を思えばいいのか、参考になるものとか無いですか?」

 じゃ、とりあえず、あなたの記憶の中からお母さんという人の記憶を
 見せますから、その映像の中に飛び込んでくださいね。

「はい、わかりました・・。でも、そのお母さんっていう人は本当に
 ぼくのお母さんだった人ですかね?」

 うーん・・。なかなか信じなくて結構ですね。でも、取り敢えずという事で・・・。

「わかりました・・。そのお母さんという人を見せて下さい・・。」

 はい。では、どうぞ。

─ グゥーングゥーングゥーン。
  ぼくは何だか、銀河系の渦潮のようなところに巻き込まれていくような
  映像を見せられた後、ある女性の部屋に入ってしまっていた・・。

「あれ、ケンちゃん。鼻が無い、どうしたの。」

「ケンちゃん?おれはあなたの誰?」

「鼻がない!どうしたの?何か変な事が起こったの?」

「鼻は取り敢えずいいんだよ、おれは。それより君はぼくの誰なのかを知りたいんだ・・。」

「ケンちゃん、何言ってるの、ずっと付き合ってるじゃない。それよりどうしたの鼻が・・。」