利用者にとってあまりに不便な一方で、ハッカーからすれば生体認証より格段に破りやすい。こんなシステムを今後も温存していこうという発想自体、私には理解不能だ。

 要するに、今のマイナンバーカードのシステムに“後づけ”で機能を付加していくのではなく、新たな国民データベースをゼロから構築すべきなのである。それは基本的に一つのシステムで動かせるものだから、日本全国の市区町村でバラバラに作られたシステムを統合するよりはるかに手っ取り早いし、安上がりなものになるはずだ。

 実際、すでに中国は13億人の国民を数秒で特定できる巨大な顔認証データベースを作り上げているのだから、技術的には人口が10分の1の日本にできないわけがない。しかし、ITゼネコンにしてみれば、自分たちの“食い扶持”を減らすような提案は絶対にしないだろうし、発注者である政府が国民データベースというものを理解しない限り、永遠に実現しないだろう。