しかも、住基ネットは市区町村ごとに富士通やNEC、NTTデータなどのITゼネコンが入り込んで別々のシステムを作ってきたため、国全体で足し算ができないという根本的な欠陥がある。国民は戸籍、住民票、確定申告、扶養控除、国勢調査などの個人情報を何度も役所に登録してきたが、それらはバラバラで電子的に統合されていない。

 このため、たとえば私が消費者金融で借金をする際に、氏名の読み仮名を「オオマエケンイチ」から「オオサキケンイチ」に変えれば、信用情報の照会サービスでは「別人」と判断される。法務省は戸籍について今後データベースとして活用するため氏名に読み仮名を付けることを検討しているというが、そんなことをしても世帯や家族も含めた個人情報が全部わかるリレーショナルデータベースを作らなければ、このような問題は解決できないのだ。