さらに、総務省は2022年度中にマイナンバーカード機能をスマートフォンに搭載することを目指すとし、平井卓也デジタル改革担当相はマイナンバーカードのセキュリティ向上のために現在の暗証番号に加えて顔認証などの生体認証を追加する「多要素化」を検討していると報じられた。

 しかし、たとえそれらの「改革」を実行したとしても、現状のマイナンバーカードのシステムは全く使い物にならないと思う。なぜなら、そもそもデータベースとしての基本的な要素を持っていないからである。

 マイナンバーの土台は、既存の住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステム)で、氏名・生年月日・性別・住所という住民票の4情報しか入っていない。つまり、世帯や家族、縁戚関係など個人を取り巻く親族が把握できるリレーショナルデータベースになっていないのだ。したがって、それを「マイナポータル」に集めてみたところで、世帯や家族を対象とした行政サービスには使えないのである。