新型コロナウイルスの流行による景気後退で、世界が大失業時代に突入している。
国際労働機関(ILO)は、世界で労働者の約半数に当たる16億人が生計を失う危機にさらされていると発表した。
その中でも感染者や死者数が多く、経済的なダメージも大きな欧州は、失業者が大幅に増えそうだ。
短期的な安全網としては、政府が従業員の賃金の一部を肩代わりする雇用維持制度がある。
中長期的に欧州各国はどのように失業者を救い、格差を是正しようとしているのか。

国際通貨基金(IMF)は6月24日に世界経済見通しを改定し、
「世界経済は『大封鎖』に陥り、大恐慌以来で最悪の景気後退だ」と述べた。
その中でも特に経済的なダメージが大きいのが欧州だ。
IMFの予想では、ユーロ圏全体の2020年の実質経済成長率がマイナス10.2%と主要地域では経済縮小幅が最も大きくなる。
英国のそれは同じくマイナス10.2%と、約300年ぶりの縮小幅になる見込みだ。
ところが、欧州連合(EU)が6月3日に発表したデータによると、
4月のユーロ圏全体の失業率は7.3%で前月から0.2ポイントの悪化にとどまった。
4月の英国の失業率は3.9%と前月からほぼ横ばいだった。
ユーロ圏だけで約1200万人の失業者がいると想定されているが、急増しているわけではない。
2010年以降のユーロ危機の際には13年に失業率が12%を超えており、その時よりもまだ低い水準にある。