北京のシンクタンク、全球化智庫(CCG)の客員研究者、黄文政氏は
「中国は向こう20〜30年は大丈夫だろう。だが、人口問題を解決できなければ大きなトラブルに陥る」と述べた。
同氏は世界各地に投資するヘッジファンド会社のパートナーでもある。
推計そのものを控えるケースもある。
中国の家族計画当局(強制中絶や避妊など、一人っ子政策の厳格な実施で知られる)に助言した経験を持つ人口統計学者の梁中堂氏は、
信頼できるデータは政府からしか得られないと話す。
政府のデータが信用できないのなら、他の推計も同様だという。
梁氏によると、かつて国家統計局は、地方当局からの出生報告で欠けていると考えた新生児数を補うために調整をしていた。
ウィスコンシン大学の易氏は引き続き、全ての出産制限を撤廃するよう政府に呼び掛けている。
「人口危機を示す兆しがこれだけあるのだから、政府が出産管理を続ける理由はない」
中国が人口データを水増ししているとの主張を裏付けるため、易氏は出生と入学のデータの相違を挙げた。
例えば2000年の新生児は統計局によると1771万人だったが、14年の中学入学者(14歳)はわずか1426万人だった。
2000年の乳児死亡率3%前後を加味しても、この大きな差は説明できない。18年の中国の乳児死亡率は0.61%だった。 
一部地方のデータに見られる不規則な動きも、出生数が信頼できないとの疑惑を裏付けている。
南西部の重慶市では、地元保健当局のデータで今年1-5月の出生数が44%減少した。それが6月に跳ね上がり、1カ月で前5カ月の合計を上回った。
同市の当局は原因を説明しておらず、コメント要請に応じなかった。
梁氏は、本当の出生数が分かるのは人口調査がさらに1、2回りした後だと見込んでいる。
中国では来年、10年に1度の人口調査が行われる。「データを偽造する必要はもうない」と梁氏は述べた。