日本男子で最軽量級の2連覇は、隔年開催だった1973年と75年の南喜陽以来43年ぶり。2年後の東京五輪代表争いへアピールした。準決勝で高藤に敗れた永山竜樹(22)=東海大=は銅メダル。女
子48キロ級の渡名喜風南(となき・ふうな、23)=パーク24=は決勝で敗れて2連覇を逃し、銀メダルに終わった。
見えない火花が散る。男子60キロ級の準決勝。鬼のような形相で高藤が永山の挑戦を受けて立った。日本勢対決は延長16秒、小内刈りで技ありを奪った高藤に
軍配が上がった。決勝もロシア選手を退け、2年連続3度目の世界一だ。
「先輩の意地を見せた。(9枠のうち60キロ級で)2枠を使って悔しい部分があった。僕一人で大丈夫でしょう」
初戦の2回戦からの4試合はオール一本勝ち。要した時間は1試合分に相当するちょうど4分。流れに乗り、大一番と掲げた準決勝を迎えた。
開始早々、寝技を仕掛けたところで左膝を痛めた。「変な音がして違和感があった」。それでも「腹をくくった」と、キレのある技を繰り出す永山に適応。
最後は得意技でけりをつけた。
東海大で3学年下の永山とは代表合宿でいつも一緒だが約2年間、稽古で乱取りはしていない。互いを意識するからだ。過去1勝2敗と苦手の後輩を撃破し、
2020年東京五輪の金メダルへ自信を深めた。
「小学生の頃から人がやらない技をやれば、勝てると思っていた。いやらしい性格でごめんなさい」とおどけるが、前例にとらわれない行動力が魅力のひとつだ。
昨年12月のGS東京大会を制して今大会の代表に決まると、「視野を広げて臨む」をテーマに掲げた。3月に1階級上の66キロ級で国際大会に出て優勝。
コーチや練習パートナーも帯同せず、1人での修行だった。
座右の銘は「信念」。4月には体重無差別の全日本選手権に挑戦。パワーで勝る選手と相まみえ、「最大出力の底上げ」を図った。
「圧倒的な優勝を求められている。このまま負けないでいければ」。銅メダルに終わった16年リオデジャネイロ五輪のリベンジのため、戦い続ける。
高藤は慢心することなく、己の道を進む。

高藤『金』!男子最軽量級43年ぶり連覇、座右の銘「信念」貫き頂点/柔道
https://www.sanspo.com/sports/news/20180921/jud18092105020003-n1.html

ミックスゾーンに現れた女子48キロ級の渡名喜は「悔しい限りです」と絞り出すと、次の言葉を発するまで数十秒かかった。ビロディドとは今年に入って初対戦から2戦2敗。
1メートル48の自身よりも24センチも長身の相手の対策に全精力を傾けてきたが、3度目の対戦でも及ばず。涙が止まることはなかった。
2月のグランドスラム(GS)パリ大会、7月のグランプリ・ザグレブで敗戦。ビデオ研究をし尽くし、出した答えが「前に出ながら組み手争いをするとイライラしている」だった。
開始とともに積極的に前に出て、相手を後退させながら技を仕掛けた。しかし奥襟を持たれて後退した一瞬の隙を突かれ、GSパリ大会と同じ大内刈りで完璧に倒された。
4月にパーク24入りし、園田隆二コーチの下で自分の組み手に持ち込むスタイルへと転換した。決勝では完敗したが、厳しい相手との対戦が続いた準決勝までを
勝ちきったことは成長した部分。東京五輪で高い壁を乗り越えるため、再び挑戦者として研さんしていく。

渡名喜、涙の銀「悔しい限り」宿敵ビロディドに3連敗で連覇夢散
https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2018/09/21/kiji/20180921s00006000103000c.html