柔道の世界無差別選手権で、4試合オール一本勝ちで初優勝した女子の朝比奈沙羅(21)=東海大=が14日、開催地のモロッコから羽田空港に帰国した。
準決勝では、ロンドン五輪女子78キロ超級金メダリストのイダリス・オルティス(キューバ)に縦四方固めで完勝。過去3戦全敗だった女王から初白星を
挙げ、「優勝したことよりもオルティス選手に勝てたことがうれしい。以前対戦したときよりも冷静に試合の状況を把握しながら戦えた」と成長に胸を張った。
得たものは自信だけではない。今回の優勝賞金は、柔道では破格の約1000万円(8万ユーロ)。ただ、朝比奈は2020年東京五輪後に医学部進学を
目指しているだけに、「貯金します。これから学費もかかるし、親に迷惑もかけられない」と浮ついた様子はなかった。
国内では、12日の講道館杯で同学年の井上あかり(環太平洋大)が初優勝し、17歳のホープ素根輝(福岡・南筑高)が2位。「日本でも力のある
選手がこれからも出てくる。今回の結果に満足せず、勝ってかぶとの緒を締めて頑張りたい」と、3年後の東京五輪代表争いに向けて気を引き締めた。

医学部志望の柔道・朝比奈 賞金1000万は「貯金して学費」
https://www.daily.co.jp/general/2017/11/15/0010733261.shtml

「世界女王」の称号を手にした朝比奈は「結果もそうですが(絶対女王の)オルティス選手(キューバ)に勝てた方がうれしかった。以前よりも冷静に
状況を把握出来た」と振り返った。
オルティスは12年ロンドン五輪金メダル、世界選手権連覇など女子重量級の「絶対女王」として知られている。朝比奈は過去3敗し、4度目の対戦で
初勝利した。世界選手権銀メダルで終わった悔しさを胸に約2カ月間、組み手を強化したことが勝因につながった。
絶対女王から学ぶこともあった。オルティスとの準決勝終了後、オルティスから近づきハグされた。「感動した。女王というのはこういうことなんだなと思った」と、
その温かい対応に感銘を受けた。
大会後は日差しが強い中、付き人とモスクや市場などの観光地を馬車で回った。ラクダにも乗ったが「落とされそうで(けがしないようにと気を付けて)
疲れた。乗り心地も良くなかった」と苦笑いした。
約2週間後にはグランドスラム東京大会(12月2〜3日、東京体育館)が控える。「連覇がかかっているのでしっかりと連覇したい。ここで満足することなく、
継続して苦手をつぶしていく」と気を引き締めた。
同じ便で帰国した同選手権男子3位の王子谷剛志(25=旭化成)は「絶対王者」のリネール(フランス)と対戦出来ずに終わってしまった。「今年中に
勝負したいという思いでした。負けは負けですが、世界選手権の時よりも余裕があり自分らしい柔道も出来た。次につなげたいです」と前を向いた。

朝比奈沙羅が凱旋帰国、女王オルティスに品格学んだ
https://www.nikkansports.com/sports/news/201711150000019.html