2020年東京五輪開幕まで28日で、あと1000日となった。1964年東京五輪では、米国、ソ連(当時)に次いで3番目に多い16個の金メダルを獲得し、
国内は盛り上がった。20年大会へ向け、日本オリンピック委員会(JOC)は56年ぶりに金メダル数世界3位になることを目標に掲げる。昨年の
リオデジャネイロ五輪では、史上最多の41個(金12、銀8、銅21)のメダルを獲得した。今年の世界選手権でも「お家芸」の柔道やレスリングなどで
金メダルを手にした。64年大会のような熱狂の再現を目指して選手や指導者らの意欲は高まっている。
東京五輪へ向けた旗振り役となる1984年ロサンゼルス五輪柔道金メダリストの山下泰裕・JOC選手強化本部長に今後の強化策などを聞いた。
金メダル数は「個人的見解で30個は狙える」と宣言。メダルを計算できる柔道やレスリングなどを「七つの軸」と掲げ、期待を寄せる。
7月に選手強化本部長に就任した。
日本での夏季五輪開催は1964年以来、56年ぶり。4年に1度の五輪ではなく、一生に1回の五輪だと思い、万端の準備をする。関わる人は20年で燃え
尽きる気持ちでやってほしい。私もこれからの3年間で燃え尽きる覚悟と決意でやる。
東京五輪へ向けて、どのような取り組みを行っていくのか。
いかに現場の指導者が集中できる環境を作れるか。強化を行っているのは各競技団体。こちらがコントロールするのでなく、現場に寄り添って意見を
聞いていく。就任後、選手強化本部の常任委員に体操の水鳥寿思・男子強化本部長や柔道の井上康生・男子監督ら現場の人を入れた。今までは
各競技団体の会長や専務理事ばかりで現場の声が届きにくかった。
金メダル数で世界3位を目指す。
競技ごとに細かく分析をしている最中で、正式な金メダルの目標数は来夏に出す。若い力も育ってきて、野球や空手などの追加競技もある。
力を結集すれば、金メダル30個は狙えると個人的には思っている。
強化の土台があり、特にメダルが期待できる水泳、体操、レスリング、柔道、卓球、バドミントン、陸上の七つが軸になる。7競技で最低20〜25個の金を
取らないといけない。9月に7競技団体の強化責任者を集めて強化のために何が必要か、何ができるのか意見交換を行った。
7競技団体以外への期待は。
多くの競技で自己ベストを出したい。メダル数という視点だけでなく、チーム競技が活躍すると盛り上がる。一番大事なことは、日本選手団が国民に夢や
希望や感動を与えることだ。
東京五輪の代表選考に望むことは。
13年から2年間、JOCで選手の周辺環境を整備するアントラージュ専門部会の初代部会長を務め、暴力の一掃や代表選考の透明化に取り組んだ。
東京五輪の代表選考は、過去の大会以上に注目される。代表選考の方法をできるだけ早く議論し、公表してほしい。より客観的で透明性がある選考
となることを希望したい。

<東京五輪>ロス柔道金の山下泰裕氏「金30個は狙える」
https://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20171028/k00/00m/050/125000c