不思議な巡り合わせがあるものだ。リオデジャネイロ五輪で、ともにメダル獲得が期待されるレスリング女子48キロ級の
登坂絵莉選手(22)の父修さん(52)=富山県高岡市=と、柔道女子70キロ級の田知本遥選手(25)の父又広(やすひろ)さん(52)=
同県射水市=は、高岡第一高校(高岡市)の同級生。中学時代は共に柔道に打ち込み、大会で対戦したこともあった。三十年余り
の時を経て言葉を交わした二人は「まさか娘同士が一緒に五輪に行くなんて」と一カ月後の本番を心待ちにしている。
富山県総合体育センターで今年五月上旬にあった県スポーツフェスタの総合開会式。県ゆかりのリオ五輪代表選手の表彰があり、
二人の父が代理出席した。
又広さんが遅れて会場に着くと、修さんが席に座っていた。「おう、久々やな」。まともに話すのは高校卒業以来だ。「やっぱりよく
食べる子が格闘技は強くなる」と、互いの娘の話に花が咲いた。
小学生の時に柔道を始めた又広さん。体が大きく、無差別級で活躍。射水市小杉中学校では団体で全国大会を制した。修さんは
「強いし、有名人やったね」と懐かしむ。自身も高岡市国吉中学校では軽々量級で県大会優勝を果たすなど負けてはいなかった。
出稽古で同じ畳で汗を流すこともあった。階級が違い、組み合う機会は限られたが、修さんは数少ない対戦を今でも覚えている。
三年の地区大会。団体戦で大将同士、畳に上がった。「とにかく怖くて逃げたかった」と修さん。得意技の一本背負いを仕掛けたが、
又広さんはびくともせず。あっという間に投げられた。「全然かなわんかった」と苦笑いする。
当時、高校の最も軽い階級は62キロ。体重が四五キロだった修さんは高校でレスリングに転向。二年の時に国体で
男子グレコローマンスタイル48キロ級を制すまでの実力をつけた。又広さんも柔道部で活躍を続けた。
昨年九月の世界選手権で登坂選手が金メダルに輝き、一足先に事実上の代表内定を勝ち取った。田知本選手も今年四月の
全日本選抜体重別選手権でライバルを破って優勝。二大会連続の五輪出場を決めた。修さんは「絵莉がまだ海のものとも
山のものともわからないころ、既に田知本さんは第一線で活躍していた」。又広さんは「登坂さんは富山県の最有力の
金メダル候補や」とたたえ合う。
リオでは柔道とレスリングが同じ会場で、まずは八月十日(現地時間)、田知本選手が前回ロンドンの雪辱を期し、畳に上がる。
登坂選手は十七日に試合に臨む。二人の父は「互いの活躍は気になる。ここまで来たらどちらも悔いのない試合を」と願う。

「戦友」が再会 娘活躍願う リオ五輪代表 登坂、田知本遥選手の父
http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2016070502100029.html

リオデジャネイロ五輪柔道女子70キロ級代表の田知本遥(ALSOK)は7日、国際合宿が行われたスペインから成田空港に帰国し「多くの外国勢と
何度も組み合えた。収穫があったし、行ってよかった」と手応えを語った。
2大会連続五輪出場の25歳、田知本は4日間の練習で昨年の世界選手権を制したジブリズ・エマヌ(フランス)ら世界ランキング上位選手と乱取りを
重ねたという。今後は母校の東海大を拠点に調整し、男子との練習も予定。「気持ちが高まってくると同時に、ここからが精神的にきつくなる。
自分を追い込んで仕上げたい」と意気込んだ。

田知本、外国勢相手の合宿で手応え「収穫があった」/柔道
http://www.sanspo.com/rio2016/news/20160707/rio16070714370016-n1.html