広島大学発見「喫煙者はコロナに感染しづらい」メカニズム

たばこの煙成分が「ドア」を減らす
最初に、ACE2やTMPRSS2が、特にたばこの煙の成分によってどのように変化するのかを調べてみました。
たばこの煙成分を抽出し、生理食塩水に溶かし込んだ液体をヒトの細胞にかけてみると、ACE2遺伝子の発現量がぐっと減ったのです。
さらに煙成分の濃度を上げて観察してみると、濃度が高いほどACE2遺伝子の発現量が減っていくというデータが確認できました。
この実験によって、たばこの煙に含まれる物質によりACE2、つまり「ドア」の発現を抑制することがわかりました。
次に、なぜ「ドア」の数を抑制できるのか、その仕組みを解明する実験を行いました。
細胞内の約4万の遺伝子それぞれの増減を観察する「RNA-Seq(RNAシーケンス)」という方法を用いて遺伝子発現量の変化を確認したところ、
たばこの煙成分が「AHR(芳香族炭化水素受容体)」を活性化させることによってACE2の発現を抑制していることがわかりました。