本格化する「追い出し」 原発自主避難者に国が退去訴訟(2017年11月14日中日新聞) - gooブログはじめました!桜ヶ丘9条の会
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2017/11/14 中日新聞

 東京電力福島第一原発事故により、強制避難区域以外から自主避難した人たちに、さらなる苦境が訪れている。福島県が実施してきた住宅無償提供が今年三月末で打ち切られてから半年余。避難先の住宅からの退去を迫る姿勢が本格化してきたからだ。
「帰る場所はないのに…」。不安を募らせる自主避難者たちの訴えを聞いた。

 「建物が古いからここは冬は大変だべ。湿気がすごくて除湿器をかけてないと押し入れの布団が水浸しになるし、カビがぶわーっと生えるんだ。畳だってもう腐ってて限界なんだが、交換してくれない」

 山形県米沢市にある雇用促進住宅万世宿舎。ここで六度の冬を越してきた元高校教諭武田徹さん(76)は、わが家の状況をこう語る。妻の節子さん(75)と二人暮らし。この宿舎のほとんどが空き家で、人の気配の少なさが、室内に入り込む冷気をさらに冷やす。

 武田さんは九月下旬、米沢市内にある他の二宿舎に住む自主避難者七世帯とともに、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構から提訴された。同機構は、全国の雇用促進住宅を所有してきた厚生労働省の外郭団体。
つまりは国から訴えられたのだ。自主避難者に対する立ち退き訴訟は、全国で初となる。

 福島県からの自主避難者は昨年十月の時点で二万六千六百人いた。同時期の避難者全体の約三分の一にあたる。
福島県全域が災害救助法の適用を受けたため、避難指示区域外の避難でも支援の対象となったが、避難指示区域内なら得られる東電からの賠償金などはなく、住宅の無償提供が公的支援のほぼ全てだった。

 なのに、福島県は原発事故以降、自主避難者に行ってきた住宅無償提供を今年三月に打ち切った。避難者への雇用促進住宅の無償提供も連動して打ち切られたが、武田さんら八世帯は、同機構側に家賃を支払わないまま住み続けた。
訴状は、八世帯に、立ち退きと、未払いの家賃三万五千〜三万七千円を四月分からさかのぼって支払うよう求めている。
(つづく)*