「○○がないことを証明できないなら、○○は存在する」「△△であることを証明できないなら、△△だ」といった論法を、「悪魔の証明」と言います。未知証明と呼ばれることもあります。

「ある」ということを証明するのであれば、実際に事例を紹介すれば事足ります。しかし、通常、「ない」ということを証明するのは容易ではありません。想定されるすべての可能性をつぶさねばならず、それは通常、ほぼ不可能に近いからです。

仮に、極めて多大な労力を払って、過去の数千件のUFO目撃事件をすべて論破したとしても、あるいは、確率論的に知的生命体の存在確率をゼロに近いと示したとしても、「過去の目撃はそうかもしれないが、これから本物が出てくる可能性がある」「ゼロではなく、多少なりとも可能性があるなら、やはり存在しうるということだ」などと言われてしまえば、もうそれ以上反論することはできません。つまり、現実的に、証明することは不可能なのです。

悪魔の証明は、証明責任(立証責任)の転嫁と合わせて議論されることがよくあります。証明責任の転嫁とは、本来、自分が証明しなくてはならないにもかかわらず、その責任を相手に転嫁し、証明が難しいために相手がすぐに証明出来ないと、「やはり自分の論の方が正しい」などと主張するやり方です。ビジネスの世界でもよく登場します。