中隊長は胸元で十字を切り、全体に言った。
「…………天に召します我らの父よ。罪無き彼らをどうかお導きください。彼らの尊き犠牲がそれ以上の犠牲を防ぐことをどうか報いてください。そして願わくば罪深き我らをお赦しください。我らが今日ここに在ることをお赦しください…。」
 中隊長は別に敬虔な信者でも何でもない。
 どちらかと言えば無宗教者だった。
 ……でも、何かに祈りたくて、何かに許しを請いたくて、言った。
 うろ覚えでも、神に祈った。
 虐殺に手を汚す罪の赦しを求めて、祈った。