3.ゲーム内容さえ無難でよければ他は大丈夫と考える誤謬

ゲルタンクの主人公はスライムだ
ゲルタンクはアクションゲームであるがステージ進行とともにストーリーも随時更新されていく
なぜこんな題材を選んだのか、なぜ自らハードルを上げてしまうのか理解ができない

Steamの他のゲームを見ればスライムを主役にしたゲームはほぼ見られない
モンスターのみが主人公では顧客にウケないと経験的に知られているからだ
数少ないモンスターが主役の作品でも表情豊かな顔があり手足をつける
ストーリーも王道にしてプレイヤーの感情移入に注意を払っている
製作者はなろう作家でもある
なろう小説にはスライムや蜘蛛といったモンスターを主人公にした著名作品もある
が、これらは全てストーリーが進むと人間体を獲得する

ゲルタンクはいずれの対策も行わない
主人公はタンクという要素はあれど最後までスライムのままだ
さらに感情表現で主役自らが突き進むよりも周囲がフォローアップする形で話が進んでいく
ストーリーの主役と言うものは多かれ少なかれ積極性を持たなければならない
たとえ最初は消極的でも成長することで積極性を獲得しなければならない
アクションゲームにおいてはストーリーに割く時間が少ないので主役は最初から積極的でなければならない
現状のゲルタンクの主役ではそうでないのだから感情移入が難しい

アクションゲームとして遊べれば主役など些末な問題……ではない
作者の前作であるロックマンエグゼの再現作品シャンハイエグゼが一応の成功をしてしまったがための勘違いがここにある
シャンハイエグゼは原作再現性一本での高評価であって、後は美少女シャンハイのかわいらしさで戦ってきた
それ以外の評価はほとんど無視されているのだ

あるクリエイターは自分の音楽が売れないことを嘆いていたがタイトルジャケット部分を巨乳美少女に変更したとたんに売れ始めたという
顧客が求めているものは何かを常に考え続けなればならない
恥も外聞も捨ててしまうか否かは。その人次第ではある

ゲルタンクはゲームは遊べて当然というSteamの世界で戦っている
ゲームが遊べる程度では何の差別化にもならない
今はキャラクターの魅力を最大限輝かせなければならない世界だ
どうしてもそれが無理なら、出しても売れないのだからキャラクター性を持つゲームは製作するべきではない
パズルゲームやリズムゲームなどでキャラクターを排したクールな印象のゲームで勝負するべきだ
プランニングを根本から見直す必要がある